菅原 義正様 当初はシェルタイプという座面が固いタイプのシートを使っていたのですが、車の振動が直接伝わってきてしまい、乗っていて痛かったんですね。そこで、タチエスさんに、他社のシェルタイプシートの上に座り心地の良いハンモックタイプのシートを重ねられないかと相談し、チューニングしてもらうようになりました。その流れで、ダカール専用のシートを試行錯誤しながら作ってもらうようになりました。
基本的にラリーに出場する際の装備は、国際自動車連盟(FIA)に公認されたものでなければならず、シートはシェルタイプと決められています。ただ、走行時間の短いWRC(世界ラリー選手権)や、きれいに舗装された道路を走るF1を想定して認定されたシートでは、長時間、荒野を走り続けなければならないダカールラリーには合うはずもなく、ずっと違和感を抱いていました。
菅原 照仁様 自分でクッションを足すなど、多少は加工しているチームもありますが、基本的にはFIA公認のメーカーが作ったシェルタイプのシートをそのままを使っているようです。それは、日本チームも外国チームも変わりませんね。
菅原 義正様 多くのレーサーはFIA認可のシートを使わないと車検に落ちてしまうので、 自分で工夫してクッションを作っています。自動車で一番大切なのは、地面に接している部分=タイヤです。同じように、車の中で人間が一番触れている部分がシート。選ぶシートによって、その後の疲労感や操縦安定性がまったく異なります。それだけ重要な部品だと思っています。
そのこだわりから、タチエスさんにはいろいろなリクエストを出し、無茶な要求にも応えてもらっています。
![]() |
![]() |
![]() |
菅原 照仁様 毎年お正月の頃にダカールラリーが開催されます。そこで2週間使った後に、ここが良かった、ここが良くなかったということをタチエスさんに伝え、改良を加えてもらい次年のレースに備えます。要望の内容は、主に肌に触れる部分などの細かい部分が多いですね。
前回は、夏にモンゴルでのレース(ラリーモンゴリア)に出たので、その時のフィードバックをシート改良につなげることができ、ダカールラリーまでのテスト走行も兼ねることができました。国内では走る場所がなく、基本的に練習はできないので、貴重な機会となりました。
菅原 義正様 実は、数年前からタイヤも横からの重力に強いものに変えているんです。そうすることで、カーブでの踏ん張りが効くようになります。それに合わせてシートも、重心を低くするなど改良してもらっています。レースを重ねるうちに、シートに対する要求もどんどん変わっていきますね。それは、レースに対する執念からくるものでもあります。
私にとって自動車レースは「極めたいが極められない」という、生涯完結することのない永遠のテーマ。それでも、完結を目指して挑戦し続けたいと思っています。
![]() |
菅原 義正様
|
![]() |
菅原 照仁様
|
インタビュー
モーターショー
タチエスの歴史